はてなブックマークを作り直すとしたら

── 今後のソーシャルブックマークサービスのトレンドや、こうなってほしいみたいなものがあれば教えてください。

伊藤 僕が思っているのは、はてなブックマークに「メディアとしての力」をもっと持たせたいということなんですよ。というのも、僕自身、はてなブックマークを作って一番享受した利益って「今までマスメディアが言ってる情報をそのまま受け取っていたんだけど、実は違うんだな」とか、そういうシンプルなところだったりします(笑)。
 物事って大体において矛盾をはらんでて、犯罪にしろ社会的な問題にしろ、両方の言い分を聞いてみない限り本当のことは分からない。そこは、はてなブックマークを作って本質的に理解できた感じがしますね。
 今の世の中は二元化していて、芸能人がブログでちょっと口を滑らすと炎上することもありますが、「別に人間なんだから矛盾してるんだよ。ロジックに一貫性がないのは普通なんだから」という感覚が自分の中には強くあるんです。本来はいろいろな情報があちこちから引っ張り出せることによって形成されるべきなのに、今はネットにしても、既存のマスメディアにしても、情報が一方的で答えがひとつしかない印象を受けます。
 だからそういう意味で、インターネット上に新しい「民主的なメディア」みたいな形でソーシャルブックマークサービスが位置付けられるようになってほしい。ソーシャルブックマークをチェックすれば多様な意見に触れられる。そういう環境を用意しておくべきだなと思ってます。

津田大介が伊藤直也に聞く、「はてなブックマーク」の今と未来(後編)

大風呂敷広げてきたなぁ、という印象も受けますが、サービス企画段階だからそれでいいのかもしれない。

インタビューの後日談として、津田大介さんがTwitterで、

だから全体を通してどちらが彼の本当に言いたいことなのか咀嚼・理解して、違和感ないようにまとめあげる作業(編集・構成)が必要になるわけ。はてブはおもしろいけどそういう編集や構成のプロセスが一切ないから、そういうものが入らないとメディアとして影響力は持てないんじゃ?という話もした。

Twitter / 津田大介: だから全体を通してどちらが彼の本当に言いたいことなのか...

とおっしゃっていた*1。確かに編集/構成者の意思・意図が介在するからこその「メディア」なのかもしれないけれど、そうなるとどうしても幕の内弁当的、というか、あたりさわりないけど「引き」がない、というところに落ち着いてしまいそう。毒抜き(=編集や構成で違和感をなくす)されてしまうくらいなら、完全ノーカットのマイクロメディア、「『ニッチな範囲への影響力』の集合体」という形に昇華させていくのもおもしろいかなぁ、と思う*2

del.icio.usではなくはてなブックマークに留まっているのは、一種のガラパゴスなのかもしれない。けど、カバー範囲や言語の親和性、という意味でも、そしてなにより、「自分の一言が想像以上のインパクトを持ち得る媒体」という替え難いツールであるはてなブックマークを、これからも使い続けたいと思っています。
See Also:
はてなブックマークの作り直しについて - naoyaのはてなダイアリー
津田大介が伊藤直也に聞く、「はてなブックマーク」の今と未来(前編)
津田大介が伊藤直也に聞く、「はてなブックマーク」の今と未来(中編)
津田大介が伊藤直也に聞く、「はてなブックマーク」の今と未来(後編)
「ブログ限界論」とマイクロメディア - Tech Mom from Silicon Valley

*1:後日談のログ

*2:そのための具体的機能な仕組みがなんなのかは、さっぱりアイディアが出ないわけですがw