もうダメかも、NTT

きょうの記事もNTTの社員向けなので、

NTTの自縛 知られざるNGN構想の裏側 - 池田信夫 blog

NTT社員なので、少し考えてみた。

NTTの経営陣も、さすがに情勢の変化に気づいて、Bフレッツとまったく別のNGNをつくるのではなく、フレッツ網を拡張する方向で検討し始めたようだ。しかし最大の問題は、NGNのコンセプトがはっきりしないことだ。

NTTの自縛 知られざるNGN構想の裏側 - 池田信夫 blog

『最大の問題』に関する指摘は同意。グループ内へのコンセプト周知すら明確でないのに、対外的なコンセプトの打ち出しがはっきりするわけがない。
グループ社員27万人弱(持ち株と配下五社の社員約68,000人、傘下のグループ会社社員約200,000人*1)のうち、NGNのコンセプトを正確に把握してる人はどのくらいいるんだろ。大半は「高品位IPネットワーク」、技術系は「SIPでセッション管理、QoS機能強化」くらいにしか把握出来てなくて、現場の対応も、『NGN設備が○○事務所にあるから、××サービスで使ってる装置で通信できるかどうか試してみよう』くらいの非積極的状況。

それより本質的な問題は、FTTHって本当に必要なのか、ということだ。

アンバンドル規制からプラットフォーム競争へ - 池田信夫 blog

これもおっしゃるとおり。長期間の研究開発投資が積みあがってるから推進せざるを得ないんだろうけど、その考え方ってISDNの状況と変わらないんだよなぁ。ISDNが一般向けのインフラとして如何に普及しなかったかは、言わずもがなの事実なわけで、『過去の失敗から学んでない』としか受け止められませぬ。DSL系の技術の未来については不勉強なんだけど、『100MbpsのFTTH』が最適解だとは思えないんだよなぁ。混雑する首都高にフェラーリで乗り込んでる感じだもの。


いずれにせよ、製品や技術、社内的/政治的思惑ありきで事業が動くNTT内においては、真の全体最適を目指すのは不可能に近い(と感じながら働いてる社員が大半だと思う)。大きく打ち上げたコンセプトほどその不可能度合いは高くて、NGNにしても、とても纏まっていくとは思えない。

前言撤回出来ない大人の事情も分かるけど、NTTを横目に見つつスマートに先に進もうとする国内外の競合他社の動きは見えてないんだろうか。

P.S.
NTT内のインターネット系(ISP事業と付随サービス)ビジネスが、遅い、高い、まずい、の3拍子揃った代物なことが、異動先での仕事っぷりでようやく分かりました。

  1. 世界シェアNo.1の競合が2006年2月に開始したサービスの類似サービスの検討を2006年夏に開始【遅い】
  2. 社内調整に延々と時間を費やし、2007年末にようやく一部サービスの提供開始【遅い】
  3. 競合と同レベルのサービス提供に向けて、これから準備【遅い】
  4. 従量課金のみの競合に対し、月額基本料+従量課金なNTT【高い】
  5. 使いづらいWeb設定画面と、低い品質【まずい】

もうダメかも、NTT。